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嘘喰い 第384話「不純物」感想

はい、ネタバレしてますよ!



先週の「これで ジョンリョだ」からどんな展開が待ち受けているのかと非常に楽しみにしておりました嘘喰いの続きです。


前回はジョンリョに解毒剤を飲み込まれてしまい、しかも伽羅は落石の直撃を受けてあわや崖下に真っ逆さま…というハラハラした展開でしたが、かろうじて転落を免れていたことがわかりました。

ただ、落石で受けた伽羅のダメージがどれ程のものかまでは序盤では見て取ることができません。しかも、毒が全身に回るまでのタイムリミットまで1分を切ってしまいました。



1分といえば、そう、立会人同士の號奪戦です。遂に三鷹花と番代の號奪戦が始まりました。


賭郎の敵に対して強烈なアレルギー反応を示し、賭郎勝負でありながらジョンリョと伽羅、更には鷹さんを葬ろうとして憚らない番代。それに対して、公正な勝負を阻害するばかりか自らの欲求を押し通そうとする番代を諫めようとする鷹さん、という構図です。


この二人、もはや激突するしかない。


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密葬課として初登場したときに魅せた軽気功と思われる妙技が早くも炸裂です。番代をBoy扱いしている鷹さん、ここ最近には無かった迫力があります。


当然ながら番代も負けてはいません。元S級掃除人らしく凄まじい体捌きで鷹さんにハイキックをヒットさせます。



でもね、みんなが期待してた通り、ここからは鷹さんのターンなんですよ。番代の一撃をかわした鷹さんは番代に対して、己を突き動かす衝動とは何ぞやと問いかけます。


その直後に伽羅の人外じみた猛反撃シーンが挟まれます。

戦い、より強い者を叩き伏せる事に強い楽しみの衝動を表す伽羅の姿は、かつて富士の樹海でマルコやレオと戦ったときを彷彿とさせます。方向性は違いますが、目的のためには他はどうでもいい、という番代の姿と重なるものがあります。


しかしながら、伽羅のその猛反撃シーンは虚像に過ぎませんでした。本当の伽羅は無様に、力なく崖の途中で逆さ吊りになったままです。

手段を選ばす、目的を達そうとする。その為に邪魔になるモノは、ただひたすら、異物として排除し突き進む衝動に身を委ねる。その末路はろくなものではないと鷹さんは言います。


人の強さは一点のみに非ず。


もはや完全に番代を制圧した鷹さんは静かにそう宣言しました。



ここで鷹さんの回想が入るのですが、若い頃の鷹さんは本当に美人です。恐らく嘘喰いの中では一番ではないでしょうか。また、その役回りもここまで重要なものになるとは、初登場時には思いもよりませんでした。


これまでも何度か鷹さんの回想シーンで伽羅が出てきましたが、今回の回想は完全に伽羅のターニングポイントとなる内容でした。


強さのみ、圧倒的な力のみを追い求める若き日の伽羅に対して鷹さんは言います。


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鼻で笑う伽羅に対して、人間だったらそういう生き方はお勧めできないね、と優しげな面持ちで鷹さんは続けます。


感想としてはダメなのですが、あまりに良い語り口だったので、原文のまま紹介させていただきます。



人はそれができるほど強くはない。

いずれ正気を失い破滅する。

上品な食い方でも何でもいいのさ。

強さとは関係ない「不純物」、枷を背負うのさ。


それが強さの邪魔になるとしても

敢えて背負うのさ。


それが人間さ。



何か、ストンと府に落ちる語りでした。


途中の「食い方」というのは、伽羅がモノを食べるときに握り箸をしていることを指しているのだと思いますけど、実は成長した伽羅はちゃんと箸を使えるばかりか食事後に必ず「ごちそうさまでした」と言っていました。

そのときは「暴力的だけど可愛いところがある」というギャグ要素としか思っていなかったのですが。

今にして思えば、伽羅はこの時の鷹さんの言葉に何か引っ掛かるものを感じ取って、ちゃんと胸に刻んでいたのですね。


獣から人へ。不純物を強さへ。


戦いの師匠ではなさそうだけど、伽羅の人生の師匠だったんだなあと思うと、ますます鷹さんが魅力あるキャラクターに見えてきます。

伽羅は人生の節目にとてもいい出逢いを重ねていますよね。鷹さん然り、前棟梁然り、嘘喰いもまた然り。実はカールや梶のような弱者との出逢いも伽羅の成長の糧になっていたんだと思うと胸が熱くなります。



さあ、ここからの展開が非常に熱いです。最近で言うと梶とフロイドの賭郎勝負の時以来でしょうか。梶は満身創痍になりながらも「普通であり続けることの強さ」を魅せてくれました。そんな梶とはまた違う「強さ」の定義を垣間見たような気がします。



先程の鷹さんの語りにオーバーラップするように、満身創痍の伽羅が静かに立ち上がります。


それはいずれ己の中で、不純物ではなくなる。

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まるで憑き物が落ちたかのような穏やかな表情の伽羅。いつも強者の傲岸さを振り撒いていた彼も、真の強さを得ようと「枷を背負うこと」に懸命だった。


熱い、熱すぎる。あまりに強烈なシンパシーを感じて思わず目頭が熱くなってしまいました。


だって、誰だってそうなんですよ。なんだかんだ言いながら、みんな何かと戦ってる。自分自身の影と。あるいは自らを抑圧する何かと。何事にも動じない真の強さを求めて戦ってるんですよ。


鷹さんの教えが確実に伽羅に受け継がれている。そう感じられることもこのシーンが熱い理由だと思います。

もしかしたらですけど、鷹さんの「枷」って旦那とか子供かもしれませんよね。それも武術の達人とかじゃなくて本当に普通の人だったり。そのうえで今の強さを身につけたのだとしたらこれはまた熱いですよ。

本筋ではないのでその辺の話が語られることは無いでしょうけど、いつかエピソードとして挿入されたら嬉しいですね。


おおよそ最強の敵であるジョンリョの面前とは思えない穏やかな表情で、伽羅は嘘喰いに対する想いを言葉にします。どんな言葉を発したかは、実際にヤンジャンを読んで御覧になってください。


すぐさまジョンリョが伽羅に襲いかかりますが、その凄まじい猛攻をかわして重い一撃を叩き込むことに成功します。堪らず、さっき飲み込んだ解毒剤を吐き出してしまうジョンリョ。まだワンチャンあるか?


ここから胸がすくような逆転劇を期待したいところですが、ジョンリョの「神の目」を掻い潜って一撃を叩き込めた理由をおざなりにしないで、納得のいく決着を魅せて欲しいものです。

だぶんですが、伽羅が勝ったとしても退場になっちゃうんだろうなと予想しています。嘘喰いの暴としてまだマルコが居ますし。


あとはまだアイデアル側、ラロの協力者である梟がまだ出てきていないですよね。

相当の強敵として描写されることを期待していますが、立会人として誰がついているのかも非常に気になるところです。個人的には、満を持してもと零號の磨黒さんが活躍するのを見てみたいです。