ZELDAのよもやま話

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眼の覚める逆転劇

帰省していた日曜日にたまたま将棋の特番を見ていたら「投了図対局」という面白い企画をやってました。

将棋において「これはどうやっても負けが確定したな」と思った側が潔く負けを認めることを「投了」と言い、投了した局面を「投了図」と言うのですが、これがプロ同士のタイトル戦ともなると本当に詰むまでに数十手を要する事があります。テレビでやっていた企画というのは、プロ対局の投了図の優勢なほうをアマチュア、劣勢なほうをプロ棋士が受け持って本当にどちらかの王が詰むまで勝負する、というものでした。

普通に考えたら一度投了した状態からの逆転は有り得ないのですが、そこにプロとアマの実力差を楽しむ余地があるわけです。プロなら読み切れる局面をアマは読み切れるのか。投了図という絶望的な局面からプロは逃れるばかりでなく、奇跡の逆転勝利を手中に納める事が出来るものなのか?あまりに興味深かったので小一時間ほどテレビ画面に釘付けになってました。

結果は異なる取り組みで二戦やって一勝一敗。プロ側で勝利を納めたのは羽生名人でした。とてもその時の再現は出来ませんが、相手の方はアマとはいえ将棋の協会会長のご友人との事で、途中まではプロの解説員も唸るほど完璧な打ち筋でした。それがたった一手、ほんの一手だけ目先の駒に心を奪われて生じたほつれを羽生さんは見逃さず、入玉直前まで逃げに逃げてついに「詰めろ」をもぎ取り、それこそ最後の最後まで相手の喉笛に食らいついて離さず勝ちをもぎ取ったのです。

正直言ってこのような正月企画でこれほど心震えるとは思いませんでした。前にしたり顔で「絶望の底からはい上がるからこそ感動が生まれる」だなんて書いてしまいましたが、正にプロ棋士の凄み、守るべきプライドを思い知った気分でした。

なんだったらハチワンでも投了図対局とかやればいいと思います。劣勢側が鬼将会とか澄野さんだとおいしいと思うのですが個人的にはプロ代表の海豚七段に頑張って欲しい。けどきっとあの方は二こ神さんに負けた時点で一生ボンヤリとした将棋人生かもしれない…自分で言っておいてナンタルチア。